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パリのカルティエ財団で来年3月まで開かれている展覧会『起きようとしていること』は、事故というテーマを真正面から扱った内容で、刺激的だ。監修にあたったポール・ヴィリリオは、91年に同じ財団で「速度」をテーマにした展覧会を企画しているが、今回は「9・11」の経験を踏まえた内容になっている。ニューヨーク在住の建築家レベウス・ウッズによる大型のインスタレーションが未来の廃墟を具現しているようで興味深いが、ヴィリリオが長年提唱してきた「事故の博物館」の第一歩となるよう、さまざまな事故の報道映像やそれを使った映像作品が中心で、見ごたえがある。展覧会のタイトルと同名の著作は、すでに刊行されている(日本語版は来年刊行される予定)。70年代から技術文明に対して常に鋭い批判を展開してきたヴィリリオ。その健在ぶりは、戦争へとむかって急傾斜する世界のなかで新しい年を迎えるにあたり、ひとつのささやかな希望のように感じられる。

ポール・ヴィリリオ(Paul Virilio, 1932年1月4日 - )は、フランスの思想家、都市計画家。 パリ生まれ。速度術(ドロモロジー)を鍵概念として、テクノロジーやメディアの発展によって、人間の知覚や行動がどのように変容していくのかを分析している。しかし、速度と加速度の概念を取り違えた論文が散見される。


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