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1936

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さて、1936年5月の総選挙で人民戦線が勝つと、賃上げや労働条件の改善を要求するストが全国の工場に広がった。「今度は勝てるぞ」という確信に支えられた大勢の労働者は工場を占拠し、討論の合間には歌や踊りに興じ、飲食物をもちよってピクニックを楽しみ、老若男女みんなで時空間を分かち合う連帯の歓びが生まれた。6月初旬に内閣を組織したレオン・ブルムはこの状況をくみとり、大至急で有給休暇を制定する法案をつくらせた。法案は、国民議会、元老院ともほぼ満場一致で可決された。それまで裕福な階層だけが楽しめたレジャー、スポーツ、文化に一般大衆もアクセスできるようになった画期的なできごとだ(ちなみに人民戦線が政権を掌握していた期間に、資本家たちは70億フラン近くを国外に逃避させた)。

80〜90歳代の人々の当時の回想からは、36年のストのお祭りのような雰囲気や、初めての有給休暇がもたらした歓喜のようすがうかがえる。パリ南東の郊外でセーヌ河に合流するマルヌ河沿いには今でも、当時の庶民の娯楽の場として一世を風靡したギャンゲット(野外酒場・ダンスホール)がいくつか残っているが、そのひとつ、マルタン・ペシュールの向かいの河岸で、今年の5月1日から7月末まで『水辺ラッシュ』と題した野外無料写真展をやっている。人民戦線と最初の有給休暇を謳歌する人々をとらえたのは、アンリ・カルティエ=ブレッソン、デヴィッド・シーモア、ロバート・キャパ、ウィリー・ロニスなど、後に世界的名声を得るカメラマンの面々(当時20歳すぎ)だ。1930年代は、報道写真のジャンルが確立した時代でもあった。

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