copy and destroy

catch and eat

――古川さんは、アップルのiTunes Music Store をかなり高く評価されているようですが、どのあたりがポイントでしょうか。

●アップルは、デザインが秀逸だという人が多いのですが、私は少し違う見方をしています。形がかっこいいとか機能がすばらしいというのはごく一部分のことで、iPod が成功した理由は、音楽を聴く文化という本質的なところまで掘り下げて検討を尽くし、流れを作ってきた点にあります。iTMS の成功も、何百万曲用意されているとか、1 曲150 円(99ドル)程度でダウンロードできるとか、楽曲数や価格が着目されがちですが、実はまったく違うところに成功要因があると見ています。彼らの課金や認証のメカニズムは、全世界をカバーしていて、いつの間にかマスターカードの次に大きいといえるほどの決済システムになっています。そのうえでさらに、マスターカードやVISA ですらやれなかったことも成し遂げました。それは、支払いをする人と使う人を分離できるということです。プリペイドのシステムやクレジットカードを使った決済システムを、本人が購入するためだけではなく、購入したコンテンツを他の誰かにプレゼントしたり、誰かのために定期的なコンテンツ課金(アローアンス)をセットアップしたりできます。お父さんから子どもに毎月1日に5000 円振り込み、子供はその予算枠の中から音楽を買う。月末になって150 円しか残っていないときに、1日まで待つか、おばあちゃんから2500 円のプリペイドカードをもらって買うかを選べます。また、自分の気に入った曲を2 曲買って、1 曲はメールでプレゼントすると、相手に権利ごとちゃんと渡っていきます。購入する本人と、支払い義務を負う人を分離しただけで、新しい社会インフラが形成されつつあるといえます。

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