静かな終わり方でした。ウェブが今ほど騒がしくなかった頃、NTT DATAの「先見日記」はとても輝いて見えました。2002年開始だそうです。こういうジャンルがWEBマガジンと呼ばれ、ウェブサイトが紙の媒体のカウンターメディアとして強く意識されていた頃ですね。その頃の空気で言えば、ウェブという言葉より、サイバーという言葉の方がしっくりくるのかもしれませんね。サイバー空間に書くということは、既存のメディアに書くこととは違う意味合いを持つ。そんな感覚が、この「先見」という言葉に表現されているような気がします。
まだブログは普及していませんでした。テキストサイトや「さるさる日記」のような日記サービスが全盛だった頃ですね。高機能ブログツールが個人で簡単に使える今では、「先見日記」の執筆者としてコラムを書くことと、その執筆者が自身のメディアであるブログでコラムを書くことの差が見えにくくなっているのかもしれません。
「先見日記」終了にあたって、NTTデータ広報部名義で、次のような言葉を書かれています。一部引用しますが、どうか前文目を通し読まれることをお薦めします。下段には、開設当初の言葉も掲載されていて、2002年から2008年という時の流れがわかる時代の証言でもあるからです。
先見性をもって活動されている各界のオピニオンリーダーが、日記形式のエッセイを毎週連載するというスタイルはご好評いただき、多くのメディアやblog等で引用されるなど、企業が発信するユニークなメディアとして一定の役割を担ってきたと自負しています。開始当時はまだ日本はblog開花寸前の時期でしたが、現在は多くの方がblogを持たれ、ご自身の意見を発信されるようになりました。「先見日記」という形式の一端は、blogでの個々人の表現活動に十分引き継がれていると考えています。多様性は未来への知恵を育む土壌でもあります。であるからこそ、この先も、インターネットが健全な言論の場でありつづけることを心から願っています。
とはいっても「日記」ですから、あまり堅苦しいものにはしないつもりです。それぞれの筆者には、日々の生活の中から何かしら将来に向けてのヒントになるようなことを、とお願いしました。海外在住の筆者や、よく旅をする筆者や、海外のメディアに接することの多い筆者がいるので、日本ではあまり知られていないニュースについて書いていただきたい、とも頼んであります。「先見」は時間軸だけでなく、空間軸に沿っても展開されると思うからです。