それでセッションで1曲作ったんだけど、レコーディングで挫折しちゃったんですよ(笑)。その原因は、僕がプレイヤー志向だったというところが大きいんですけど。その頃はSLY & THE FAMILY STONEとかばっかり聴いていたから、演奏するとファンクになる(笑)。
それはね、久保田麻琴が家に来て、「細野さんはトロピカルだよ」って言ったんですよ。本当に的確なこと言う。「細野さんはトロピカルダンディーだよ」って言うから、それをそのままタイトルにしたんだけど。
YMOの3人でマーティン・デニーの「ファイアークラッカー」っていうすごく好きだった曲を1回生楽器で演奏したことがあって。そうしたらどうしてもファンクっぽくなってしまって(笑)、それじゃあそれまでやっていたこととあまり変わらないから、その曲をコンピュータでやろうと思ったんですね。それでできたのがYMOの「ファイアークラッカー」なんです。
──YMOの「ファイアークラッカー」は、電子音でもしっかりグルーヴ感やエキゾ感がありますよね。
それまでも、みんなラテンやファンクを聴いたり、スタジオで演奏したりしてましたから。
──そういう人たちが作るから電子音でもグルーヴが生まれるのか、それともそういったグルーヴがあるのがテクノの特性なのか。
いやいやいや、コンピューターってのは、プラスもマイナスもない、そのまんま……イマジネーションがあればコンピューターも反応してくれるけど、なければ何にも出てこない。だから非常に手強い機材ですよね。コンピューターにすべてを任せるってわけにはいかないし、やっぱりプログラミングしていかなければならないから。