それだけではないんです。物語の登場人物の名前の上に、星印(*)がつけられている人がいるんですよ。たとえば、「*ゼンジ・ヒログチ」という風に書かれます。
名前の頭に星印のついたふたりは、日暮れまでに死ぬことになる。ちなみに、特定の人名の頭に星印をつけるこの手法は、この物語のおしまいまで継続され、登場人物の一部が、まもなく体力と狡知の面で究極のダーウィン的試練にかけられることを、読者に予告することになるだろう。(32ページ)
何故かこの語り手は、その後の展開をどんどん書いていってしまうんです。
同じように、この先起こるほとんどすべての出来事がさらりと書かれていきます。誰と誰が結婚し、どういう子供が生まれ、どんなことが起こるか。
読者はこれから物語で語られるほとんどすべての出来事を、途中でもう知ってしまっていて、なおかつ間もなく誰が死ぬか分かっていながら読むわけです。