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こんな生活をすればたいていのことは気にならなくなる

天候悪化はわかっていたので、出発前に全員の衣類を調べた。ほとんど使えない。それでセーターや防寒着、漁師合羽をみんなに貸した。なにを着てもずぶ濡れになるだろうが、直接肌にウールを着れば体温は守られる。完全防水の漁師ガッパは雨と外気を遮断する。しかし化繊雨具は、たとえゴアテックスであっても、下に水温を遮るものを着なければ、肌に張り付いて体温を奪う。知床で雨具に求められるのは防水性ではない。防寒性なのだ。いずれにしても私たちは嵐に耐えた。

冬の日高や大雪を登っていたころは、雪洞やイグルーの中で、石のように凍った寝袋に潜り込んで寝た。羽毛は体温が伝わると氷が解けて膨らみはじめる。そしてもうもうと湯気が出る。そのため雪洞の中は1メートル先も見えなくなる。そうなってはじめて眠れる。こんな生活をすればたいていのことは気にならなくなる。そして何が大事かを知る。木綿はだめだ。アラスカにはCotton kills people ということわざがある。

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