こうなって久しく、しかもそのことに気づいていない大衆すべてを刺しつらぬいて所定の効果をあげる日本語は、歯切れの良い言葉、ずけずけとものを言う言葉、本質を意図的にはずしたところで笑いを取りながら、本質的なところでは一刀両断にする言葉、といった種類の日本語だ。 歯切れの良い言葉とは、わかりやすくて簡潔に短い言葉を、微妙さをいっさい切り捨て、なんらためらうことなく、臆面もなく音声にして解き放つことが可能な言葉だ。それを受けとめるほうの人たちは、その言葉によって言いあらわされていることが、すぐにでも実現するか、あるいは、すでになかばあたりまでは実現しつつある、と錯覚しがちだ。だからこういう言葉は非常に効果的だ。