ポイエティーク、詩学のことだった。
1937年パリで開かれた第2回国際美学芸術学会議に招かれたバレリーは、「美学についての講演」と題する開会講演を行った。その結びの部分において、過去の美学の業績が二つの群に大別されることを指摘した彼は、一方を感覚 sensations の研究としての「感性学」 esthésique とよび、他方を作品の産出の研究としての「制作学」 poïétique とよんだ。
感性学 esthésique という名称が esthétique （美学）という名詞に基づくものであるのと同じく、制作学 poïétique という名称は poétique （詩学）という語を、その語源的意味に力点を置きつつ用いたものである。
