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加速劣化試験 2023

加速劣化試験とは


via アレニウスの式(アレニウスの法則) (1) - 製品設計知識


加速劣化試験 - Wikipedia

加速劣化試験(かそくれっかしけん、"Accelerated Aging Test")とは、製品を過酷な条件下に置き、意図的に劣化を進めて製品寿命を検証する試験である。

製品の構造は時と共に歪み、また、製品を構成する物質は時と共に変化・劣化する。このため、製品の機能は永遠に保たれず、所定の期間についてのみ保証を与える事が検討される。劣化を評価するには、所定の年限の間材料や製品を放置、或いは実際の使用に供して評価するのが最も確実だが、例えば10年の保証を確認するために10年間を費やすのは現実的ではない。そこで、製品を過酷な条件の下において劣化を促進し、長期間に起こる劣化が短期間に進むとみなして、現実的な時間の試験で長期の劣化に代える。

実践の様子 2023 Spring

https://copyanddestroy.hatenablog.com/entry/2023/03/07/185304

日曜日、走った。加速劣化試験。20分ユルユル走って10分アップダウンがある公園を強めに走って合計30分。これを4ループ回して120分。そしてそこから最後、脚が終わるまでユルユル走る。ガス欠寸前でギリギリ60分。ということで合計180分で試験に合格した。これに合格するといつもの裏山で最大4時間の Out & Back のチケットを手に入れる事ができる。というルール。

フラットなコースを鼻呼吸で走れるくらいのペース(AeT以下)で走って20分、標高差が25mくらいある公園を強めの強度(AnT以下)で上がって下って10分、これが1ループ。これを4ループ回して1セット。それが終わってからが本番です。燃料を燃やし尽くしてからどれだけAeTで動けるかというテストで最低60分動けたら合格というものです。

このテストはいまどれだけの持久力を持っているのか確かめるものです。このテストに合格すると、いつもの裏山の Out & Back (2時間行って、2時間で引き返してくる)で、生きて帰ってこられる保証となります(あくまで持久力について最低限の保証です。どのくらい思う通りに速く・強く・大きく動けるかは別の問題です)。

この加速劣化試験の良いところは、たとえ目一杯頑張っても家の周りなので這ってでも帰宅できるというところ。裏山(エスケープコース有り)とはいえ、山を走るのと街を走るのでは、安全という意味で全然違うことが求められます。

AeT と AnT について

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「 AeT 以下のペース」というのは有酸素性閾値以下のペースのことでその燃料は脂肪が主体。理論上は脂肪が枯渇するまで運動を継続することが出来ます。体重65kgで体脂肪率20%の人間は13kgの体脂肪を持っているのでざっくり90,000kcalの燃料を持っています。ランニングは1km走るのに体重1kgあたり1kcal消費することになっているので、だいたい1,400km走れるわけです。理論上は。

そして、 「 AnT 以下のペース」( AnT は LT と呼ばれることもあります)というのは有酸素性閾値以上、無酸素性閾値以下のペースのことで燃料の主体は脂肪から糖へ徐々に切り替わります。普通の人はギリギリ30分くらい運動を継続することが出来ます。普通の人が普通に気分良く走るとこのくらいのペースになりますが、普通じゃない人(キリアン・ジョルネとかエリウド・キプチョゲとか)の場合は、なんと120分以上この強度で動き続けることが出来ます。

人間の身体はトヨタ・ハイブリッド・システムのように、運動強度で使われるエネルギーが異なります。その運動強度によってオートマチックにその比率を切り替えています。代謝って凄いね。

筋繊維と掃除機について

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AeT (有酸素性作業閾値)以下の強度で身体を動かすとき、主体となる筋繊維は ST(遅筋線維)と呼ばれます。赤い筋肉。ST は非同期的に動作します。人の身体は、長時間、動き続けることができるように、いつでも ST を全体の何割かだけ切り替えながら動作させる仕組みになっています。人体の神秘。これがなにを意味するのかというと、つまり全ての ST に刺激を入れるためには長時間その強度の運動を続けないとならないということです。ずっと、延々と、ひたすら長く。そこには抜け道や近道がありません。スピードスケート10.000m世界記録保持者のニルス・ファンデルプールは、エアロビック・トレーニング期には雨の日も風の日も毎日9時5時でバイクを走らせました(週休二日で一週間30時間)。

AnT(無酸素性閾値)以下の強度で身体を動かすとき、ST に続いて動き出す筋繊維は FT(速筋線維)と呼ばれます。白い筋肉。FT は同期的に動作します。ライオンと出会ったときに一瞬でそこから逃げ出せることができるように。 FT には FTa と FTb という異なる2種類の筋繊維があります。 AeT 以上の強度になると いよいよ ST は動作限界になって動力が足りなくなります。するとまず FT のなかで乳酸耐性の高い FTa から順番に動作を始めます。

FT が無酸素代謝で「悪い」副産物(例えば乳酸とか)を発生させると、それを ST が掃除機のようにこれを吸い取って分解、再び FT の燃料として使えるようにできると考えられています。この能力が大きい人、つまり普通じゃない人(キリアン・ジョルネとかエリウド・キプチョゲとか)はとても「大きな有酸素代謝掃除機」を持っていると考えられています。だから普通の人が30分しか続けられない強度を2時間以上も続けることが出来るわけです。

ここでのポイントは、乳酸を分解するのにも、有酸素代謝が使われるということです。

持久力が求められる低い強度・長い時間の運動の間に、このような強めの刺激を無理やり入れることで、非同期的にしか働かないサボり癖のある ST を無理やりこき使って、効率よく疲労困憊にさせる、というのがこの加速劣化試験のアイデアです。

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