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日記の本番 2024/03

Self-Confidence: An Interview with Jasmin Paris About Her 2024 Barkley Marathons Finish – iRunFargyazo.com

3月の終わり、世界最恐と呼ばれるバークレーマラソンが開催されていた。twitter で #BM100 という Tag をずっと追いかけていた。1986年から開催されているこのレース*1ではこれまで、たった15人しか完走したことがない。これはまさに失敗するためだけに開催されるレースだ。

1周32km、5周で160km、つまり100マイル、そして累積標高は20,000m? 30,000m? もうよくわからない*2。1周は12時間のタイムリミットがあって最後の制限時間は60時間*3。そんなバークレーマラソンの様子をずっとタイムラインで追っていた。

1周おきに人数が減っていき、最後の5ループまで残ったのは7名だった*4。これは過去最多だった。完走の期待が膨らむ。その中にジャスミン・パリスがいた。今回、唯一の女性だった。これまで女性の完走者は一人もいなかった。

このレースでは周回コースを時計回り、反時計回りと交互に繰り返していく。そして最後の5ループは、先にスタート地点に立ったランナーに、時計回りか反時計回りを選ぶ権利があって、それ以降のランナーはその反対回りを選ぶ。ジャスミン・パリスは6番目に4ループを終えていたが、どうしても時計回りを選びたくて、休憩もそこそこにスタート地点に立った*5。5番目に4ループを終えていたジャレド・キャンベルは完走に有利な時計回りをジャスミン・パリスに譲った。二人はレース中、パックを組んでいた。

このレースはたぶん競争ではない。そもそも競っていたら完走できないんだろう。だって生還する可能性は数パーセントしかないんだから。だれも完走出来ない事が約束されたレース。倒さなければならない敵は『誰か』ではなくてこの茨の道*6*7*8とそして自分自身。だからランナーはパックを形成してコースを踏破する。チャンスもピンチもリスクもお互いに共有する。そして最後の1ループはそれぞれが自分自身の力だけで生きて帰って来なければならない。

そして最後の5ループを5人のランナーが完走した*9

ジャスミン・パリスはその一番最後、制限時間まであと90秒というタイミングでゲートに戻って来た。まさに世紀の一瞬だった*10

ジャスミン・パリス、バークレーマラソンの挑戦は3回目だった。その最初から全く同じ一足のシューズを使っていた。シューズには何箇所も修繕した痕がある。

ジャスミン・パリスがスポンサードが切れていて、しかも穴の空いているこの inov-8 にパッチを当ててバークレーマラソンを走ったのは、こういう理由だった。

https://www.runnersworld.com/uk/news/a40744146/the-green-runners-paris/

ジャスミン パリス、ダミアン ホール、ダン ローソンを含む数人のウルトラランナーによって設立されたこの団体は、世界中のランナーに環境を助けるために個人的な変化を起こすよう促すことを目的としています。これらは、動き方、身支度、食事、声の出し方という 4 つの柱に基づいています。

もっと地元のレベルで言えば、公共交通機関を使ってレースに行くことはできますか?これを支援するために、グリーン ランナーズは、公共交通機関でアクセスしやすくするために、特定のレースの開始時刻を変更することを検討するようレース主催者に奨励したいと考えています

「ハードロック 100 には応募しませんでした。バークレーに旅行したことがあり、1 年に 2 回米国に飛ぶことが正当化できるとは思えなかったからです」

「私はあらゆる企業のアンバサダーから離れたので、今はグリーン・ランナーズに立候補しています」と、以前は Inov-8 のスポンサードを受けていたパリスは言う。 「8月末にグリーンランナーとしてUTMBに出場します。私にとって、それが独立性を維持する方法になります。スポンサー付きのアスリートとしてその真っ只中にいて、その誠実さを維持するのは難しいことです。したがって、私にとっては、そこから離れることが重要でした。」

*1:レースと呼ぶのも、大会と呼ぶのも、たぶん全然正しくない。その文化に近しい人達であればもう少し正確に言い表すことが出来るだろう

*2:実際にはコースがあるのかないのかよくわからないのでたぶんそれ以上なんだろう。 GPS の使用は許されずマップとコンパスだけが頼り。ランナーには主催者から適当に選ばれたリストウオッチが渡される。ちゃんと動くかどうかは運次第らしい。あるんだかないんだかわからないそのコースを踏破したことの証明は、中間点の『タワー(火の見やぐら)』通過と、ルートのあちこちに何冊か隠されたペーパーバックから自分のゼッケンナンバーと同じ番号のページを破いてくるというルール

*3:過去、ほんの数秒を残して完走を逃したランナーがいた。ジョン・ケリーが初完走した年だから2017年だったか

*4:井原サンは3ループをビックリするくらいのタイムで帰ってきてファンランを達成していよいよ4ループに突入したけども、残念ながらこのループでドロップアウトした。早朝のことだった

*5:ライスプディングが喉を通らず吐きながら次のループの準備をしていた

*6:これは例えでもあり、事実でもある。レッドブルのサイトにあるバークレーマラソンについての記事のヘッダー画像を参照

*7:完走者ほぼゼロ… 悪魔のウルトラトレイルラン “バークレイ・マラソン” | 耐久レース | レッドブル https://www.redbull.com/jp-ja/the-barkley-marathon-guide-nicky-spinks

*8:https://gyazo.com/ad5c634ba63d39285b95f2c1bd2017e9

*9:2024 バークレーマラソン ラップタイム https://docs.google.com/spreadsheets/d/1PuBNALExIHWnjDkbur0qVWG5Mldoj6umQRXiFTaZaao/edit?usp=sharing

*10:ゲート横で声援を送っているのが先にゴールした彼らだ

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