つまらぬ空回りをするよりは、今の自分の状況が必要なものなのだと開き直っちゃったほうが良いってこともある。時折この無気力感——いや、無気力というものともすこし違う、なんというか、エアポケットのようなものに、私はやられることがある。そのたびに、以前はしゃにむになって抗っていた。でもそれは、美徳でもなんでもなくて、いわば、水の中で速く走ろうとするのに等しい。気持ちよく漂ってしまえばいいものを——抗う。漂った上で、少し手足を動かせば、楽に進んでいくものを…。
したがって、私は、この数日を眠ったように過ごした。手に出来るものは手にし、手に出来ないものは手にしなかった。以前から好きだった映画を見直し、眠くなれば途中でもかまわず眠った。子供ともゆるーく遊び、やりたくない時は「やりたくない」とそのまま告げた。たまりにたまった何冊もの台本にも目は通さず、必要がなければ家からも出なかった。そうして——ようやく自分の中でなにかが目を覚まし、今、原稿が書けている。