好き嫌いの多い私と違い、夫は主菜も副菜のサラダもカットフルーツも添えられたクラッカーやチーズも次々と平らげてトレイを容器だけにしてしまった。きれいになくなったなあ、これで飛行機の積み荷も減るだろうと眺め、違うのではと思う。確かに積載物としての食糧は減った。しかし、食べ物はトレイから夫の胃へ移動しただけで、この飛行機全体の重量は変わらないのではないか。
考えている私に客室乗務員が食後のアイスクリームを手渡してくれる。軽食にお茶漬けや担々麺、お菓子のご用意もありますと微笑(ほほえ)まれる。フライトの間は飲み物も食べ物もどんどん与えられる。どんどん乗客である私たちの重量が増えていく。
いや、トイレに行くので排出もしている。となると、また飛行機の積載物が増える。しかし、全体の重量はやはり変わらないのではないか。食べても、出しても、変わらない。そう思うと、奇妙な孤独感に襲われた。