あれからカルヴィーノ「アメリカ講義」を読んでいて、一章「軽さ」二章「速さ」を何回も行ったり来たりしてる。もう両方が溶け合ってどっちがどっちの話なのかわからなくなってきている。そしてそこから先へ全然行けない。
カルヴィーノ「イタリア民話集」上下巻を買った。「軽さ」「速さ」の要素として神話、民話を上げていたから。
上巻にカルヴィーノ自身の解説。下巻に翻訳者の解説が載っている。
翻訳者解説によると、カルヴィーノ・イタリア民話集の原書は200編からなっていて、日本では「みどりの小鳥」31編(34編?)と「イタリア民話集」上下巻75編(一部重複、4話?)からなるそうだ。「みどりの小鳥」も買わないと! (注文した!) それからこの民話集を読むためのヒントみたいなことも書かれていて、本というのはクソ真面目に頭から順番に読んでいってはいけないのだ、と思った。
カルヴィーノは「速さ」について、現在地から目的地は一直線に最短距離をいく速さと、支離滅裂にあっちこっちへ猛スピードで動きづづける速さの二つについて言っていて、そんなふうに最初の1ページから光の速さで読み飛ばすことと、ずる賢く巻末からあっちへフラフラこっちへフラフラ何回も行ったり来たり読み彷徨うことの二つを考えた。
「速さ」ではボルヘス「伝奇集」のことに触れていた。ボルヘスは若いころから眼を病んでいて最後にはほとんど見えなくなっていたそうだ。
「白猫でないと、踏んづけてしまう、ってボルヘスはいっていたの」
白猫であればうっすらと輪郭が見えていたそうだ。彼女の名前はマリア・コダマ。彼女自身の長髪も白かった。
この週末に記すべきものがあるとしたら、カルヴィーノ「イタリア民話集」と、あとわずかでこぼれ落ちた勝点3と、「児玉まりあ文学集成」です
白い猫、白い髪、盲目、妄想。
真っ直ぐな直線ではなくてグルグルと回っている感じ。
世界の全ての謎が解けると、世界の全てが謎に溶けるよ
児玉まりあ文学集成、このコマの美しさよ
第9話。彼女自身の長髪も白かった。