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ライプニッツ『新ストア派と新エピクロス派に反対するソクラテスの考え方』(道徳哲学史講義の積読山脈)

日記の練習です。

岩波文庫のライプニッツ『形而上学叙説』は2025年に新しく出た翻訳で、文庫本なんだけど工作社のライプニッツ著作集(前期哲学)より詳細に書かれている箇所があったりする。

第20節にはプラトン『パイドン』の一部のライプニッツ自身による訳が掲載されている。そしてこの部分はライプニッツの別の著作『新ストア派と新エピクロス派に反対するソクラテスの考え方』からその部分が引かれている。この『新ストア派と…』は日本語訳がない。訳者の佐々木能章サンはこの『新ストア派と…』を訳出して注釈にまるまる掲載している。

ライプニッツ『形而上学叙説』第20節
《プラトン著『パイドン』でソクラテスが余りに唯物論的な哲学者に反対して述べた特筆すべき一節。》
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注釈 (89)
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これは既存の著作『新ストア派と新エピクロス派に反対するソクラテスの考え方』の後半部分である。この作品の前半(以下で訳出)では、エピクロス派は万物を物質に還元し神の存在を認めないのに対し、 ストア派は非物質的な実体や神の存在を認めるがそれらは無分別な必然性に支配されると主張し、いずれも目的因の存在を認めていない。 そして同時代の哲学者としてエピクロスにはホッブズが、ストア派にはスピノザとデカルトを位置付ける。これらを批判し目的因の価値を説く立場としてプラトンを援用することになる。


ロールズの『道徳哲学史講義』の「ライプニッツ講義」を読むには、工作社のライプニッツ著作集の『前期哲学』『後期哲学』の2冊があれば、ほぼすべての文献が揃う。ライプニッツは全集がまだ完結していないくらい膨大な量の作品があるんだけど、それにも関わらず著作集として刊行した工作社は凄い。そしてこの著作集は同ページに注釈を載せる体裁になっていて、しかも注釈は本文と同じくらいの分量がある。装丁もカッコイイ。1冊1万円くらいする。

岩波文庫にもライプニッツに関する本が2冊あって、ひとつは上で挙げた『形而上学叙説』、もうひとつが『モナドロジー』でこちらは2019年に刊行されている。どちらも文庫のためだけに新しく訳出された*1。そしてこの2冊があれば「ライプニッツ講義」は問題なく読める。1冊千円ちょっとだったりする。岩波文庫、いままでは古めかしいとか堅苦しいとか思っていたけど、この辺の積読山脈に登るようになって、岩波文庫の(というか岩波書店の)、凄さ、底知れなさを感じるようになった*2

*1:その昔、豪華な「全集」のために翻訳された作品を、あとになって文庫化する、というのがよくあるパターン。中公クラシックスや講談社学術文庫

*2:逆にイマイチに感じるようになった出版社もあって、原典よりやたらと豪華な装丁で立派だけどめちゃめちゃ高価な本を出版してすぐに廃番になって中古価格がアホみたいに高騰してやっと再発刊したら新装版で前著と異なる ISBN 番号を付与して NDL サーチを汚染する某Mすず書房っていう

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