これは「今週末の良かったこと」でもあり、また yet another linklog の話でもあります。
『何もしない』(一気に全部繋がっててヤバイ話)
KxAxK の『何もしない』の話*1、nakanohajime の無用の木の話*2、そして juneboku の Care の話*3、一気に全部繋がっててヤバイ。
https://copyanddestroy.hatenablog.com/entry/2025/04/17/234059
Cosense を見ると一番最初に、ジェニー・オデル『何もしない』という本を知ったのは2021/11らしい。
発端になったのは勁草書房のツイートだった。注意しないといけないのはこの本は勁草書房ではなくて早川書房の本、ということ。
https://twitter.com/keisoshoboedit/status/1455748623384276992
gyazo.com
その次は2022/10だ。対話についてリンクを辿っているうちにオープンダイアローグにたどり着いて、そこから「ケア」、「ケアの倫理」、そして『何もしない』という流れだった。
『何もしない』の「訳者あとがき」はインターネットに公開されていて、本は読んだことなかったけど、このあとがきは何回も読んだ。いくつかの重要なキーワードがあって、
何もしない - taizooo
- マーク・キングウェル「ホテル・カリフォルニア・ファクター」
- キャロル・ギリガン「ケアの倫理」(小川公代『ケアの倫理とエンパワメント』)
- ヴァージニア・ウルフ「病気になるということ」
- チャールズ・テイラー「緩衝材で覆われた自己と孔だらけの自己」(宇野重規 『民主主義のつくり方』)
- 荘子「無用の木」
そして2025/04、冒頭の引用のとおり、想像もしなかった方角からすべてのリンクが繋がったというわけ。
そして一瞬で空から降ってくる『何もしない』*4。
正直な話、冒頭の引用のそれぞれのリンク先の人たちが、どういう意図をもってその文章や引用や読書をしたのか、なんてことは一切どうでもよくて、ただ、僕の眼前にそれが一瞬で現れて一気に全部繋がった、というその驚嘆だけがすべてだったりする。
注意経済(アテンション・エコノミー)なんてどこ吹く風
『何もしない』その冒頭にこのようにあります。
注意経済にたいする政治的抵抗行為としての「何もしない」を実践するためのフィールド・ガイド
僕はインターネットの匿名アカウントとしてその最初から、この極悪非道、薄汚く闇深く淀んだ、欲望の吹き溜まった、身ぐるみ剥がされる、などと揶揄されるソーシャルネットワークを住処(棲家)としてきました。たぶんおそらく十分毒されているというのと、それだけではなく他の誰よりもそれを逆手にとって利用していて、インターネット人生(生活)を謳歌している。そういう立ち位置にいます。
だからこの『何もしない』の要所要所にかかれていることに対して理解も共感もするものの、たぶんあんまり真に受けていません。どちらかというと汚い側の人間です(この薄汚れた環境でないと生きられない存在)。
僕はインターネットをこんなふうに見ています。
川のそばに住んでいます。人々はその川が最近素行が悪く、よく暴れて堤防を超えて来て困っています。ある人は治水技術の問題だといいます。ある人はオペレーションの問題だといいます。またある人はこれは政治の問題だといいます。ある人は経済の問題だといいます。ある人は人類と水の歴史の問題だといいます。
https://copyanddestroy.hatenablog.com/entry/2020/09/14/175526#%E5%A4%A7%E8%87%AA%E7%84%B6%E3%81%A3%E3%81%BD%E3%81%84
さて、自分はというと、ちょっと素行が悪くても渦を巻いて飛沫を上げているくらいの川の方が楽しいかなーとか考えています。人の目を盗んで入ってはいけない場所にもズカズカと入っていきますし、お巡りさんの目を盗んで台風のあとの濁流で泳いだり、秘密基地よろしくガラクタを寄せ集めて陣地設営したりします。お気に入りの場所は天気や地殻変動や行政や政治によって洗い流され、場合によっては二度と元のようには戻りません。あまり人でなしなことをすると社会的な制裁を受けることもあるし、場合によっては命を失います。
https://copyanddestroy.hatenablog.com/entry/2020/09/14/175526#%E5%A4%A7%E8%87%AA%E7%84%B6%E3%81%A3%E3%81%BD%E3%81%84
インターネットの古典ではこのように謳われます。
でかいウェブ・サーヴィスは大自然っぽい
https://www.ntticc.or.jp/ja/feature/2012/Internet_Reality/document1_j.html
しいて言えば、注意経済(アテンション・エコノミー)なんてどこ吹く風(なにそれ?おいしいの?)、というのが僕の見解です。
最初にあとがきを読む、そぞろ神、 "wanderlust"
久しぶりに哲学じゃない本を読んでて、流れるように読むってこんな感じかー、となっている。どこをどう読もうが自由自在 pic.twitter.com/OxrWFowbsG
— twwp™ (@taizooo) 2025年4月18日
インターネットの野生で偶然、積読山脈に積まれた本を、思いつきで「あとがき」から読んでて、 "Wanderlust" という言葉を思い浮かべた
— twwp™ (@taizooo) 2025年4月19日
そぞろ神の物につきて心をくるはせ、道祖神のまねきにあひて、取るもの手につかず https://t.co/0QFFwZEwxy
— twwp™ (@taizooo) 2025年4月19日
"the spirits of wanderlust" https://t.co/oez3QWp5Dh
— twwp™ (@taizooo) 2025年4月19日
*1:2025-04-14|KxAxK https://sizu.me/xkxaxkx/posts/a838abasakvk
*2:あの木は役に立たなかったからこそ巨木になれたのだ https://nakanohajime.tumblr.com/post/780762344725823488
*3:Care と Cure という整理 - junebox https://scrapbox.io/juneboku/Care_%E3%81%A8_Cure_%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E6%95%B4%E7%90%86
*4:ジェニー・オデル『何もしない』、小川公代『ケアの倫理とエンパワメント』。一瞬で空から降ってくる。便利 https://copyanddestroy.hatenablog.com/entry/2025/04/18/081915