日記の練習です。
朝永振一郎『滞独日記』
世界教養全集 37 | NDLサーチ | 国立国会図書館
世界教養全集 37 - 国立国会図書館デジタルコレクション
gyazo.com
十一月二十二日
仕事の行きづまりをうったえて、少 しばかり泣きごとを仁科先生に書いたのに、先生から朝がたに返事がきた。センチだけれどもよんてなみだが出てきた。
いわく、業績があがると否とは運です。 先が見えない岐路に立っているのが吾々です。それが先へ行って大きな差ができたところで、あまり気にする必要はないと思います。またそのうちに運が向いてくれば当ることもあるでしょう。 小生はいつでもそんな気て当てに出来ないことを当てにして日を過しています。ともかくも気を長くして健康に注意して、せいぜい運がやって来るように努力するよりほかはありません。うんぬん。
これをよんでなみだが出たのである。学校へ行く路でも、この文句を思い出すごとに涙が出たのである。
朝永振一郎は1938年から1939年、世界大戦の勃発直前のドイツ、ライプチッヒ大学ハイゼンベルクの研究室にいた。その朝永への仁科芳雄からの返信。