copy and destroy

catch and eat

『道徳哲学史講義』を買ったのと、『道徳形而上学の基礎づけ』に段落番号を振った話(道徳哲学史講義の積読山脈)

日記の練習です。

『道徳哲学史講義』を買った(中古で)

いま読んでいる、ジョン・ロールズ『道徳哲学史講義』*1*2、図書館から借りてきていたけど長期戦になりそうなので結局購入した。

『道徳哲学史講義』、みすず書房から新装版が出ているけど内容はまったく変わっていないらしいのと、価格があまりにも高くなってしまったので、中古で購入した*3*4

gyazo.com

カントの文献参照

『道徳哲学史講義』、バーバラ・ハーマン*5*6は上巻最初の「編者の緒言」でこの講義録のカントの文献への参照について、こう書いている。

講義全体にわたり、テキストへの参照箇所は本文のなかに示した。カントの『道徳形而上学の基礎づけ』への参照の方法には、ある大きな特異性がある。今日では、プロイセン・アカデミー版カント著作集の該当巻数およびページ数へと参照することが、学術上の標準的な慣行である。

『基礎づけ』については、講義は、章番号と段落番号とによってテキストの諸部分へと参照するという、ロールズの授業での慣行を継承している(たとえば 「Gr I: 4」 は、『基礎づけ』第一章第四段落であって、「Gr [394]」とな る)。アカデミー版(第四巻であるが) ページ数がカギ括弧でこのあとに続く(したがって、「Gr I: 4 [394]」 となる)。

項目 内容
Gr 道徳形而上学の基礎づけ
I 第1章
4 第4段落
[394] プロイセン・アカデミー版カント著作集 394ページ

(ロールズは彼の授業では、『基礎づけ』とJ・S・ ミルの『功利主義論』については、章・行の編成方式を利用した。)

ロールズは、『道徳哲学史講義』ではイマヌエル・カント『道徳形而上学の基礎づけ』を、そして『政治哲学史講義』ではジョン・スチュアート・ミル『功利主義』を最も重要な書籍としていたのだと思う。

カントの場合、岩波書店のカント全集だとその欄外にアカデミー版のページが振られているらしいけど、ふつうの学生が手に入れられる書籍には、アカデミー版のページ番号は振られていない*7*8。だから段落番号を明記したのだと思う。

段落番号なら、数が数えられる人なら、誰でも振ることができる。便利。

『基礎づけ』の段落番号

カント講義 に綿密に取り組もうと計画する者は、ロールズが自分の学生に行なったつぎの指示に従うべきである。すなわち、 『基礎づけ』を一冊、勉学用に用意し、そして、各章の冒頭が「1」で始まる番号付けを各段落に施すことである。

そういうわけで図書館から借りている、イマヌエル・カント『道徳形而上学の基礎づけ』(訳 御子柴善之、人文書院) に、ポスト・イットで段落番号を振った。

(画像に見える、欄外の括弧つきの番号 (401) がアカデミー版のページ数である)

gyazo.com

『道徳哲学史講義』の「カント講義」

『道徳哲学史講義』では、上巻では「カント講義」Ⅰ~Ⅳ、下巻で「カント講義」Ⅴ~Ⅹがカントに関わる。そのうち『基礎づけ』を扱うのは「カント講義」Ⅰ~Ⅳ 。

gyazo.com
gyazo.com
gyazo.com

『基礎づけ』の目次と段落数

「カント講義」で取り上げられる『基礎づけ』は序文、第1章、そして第2章まで。だからそれらだけに段落番号を振った。段落数はそれぞれ、序文は14段落、第1章は22段落、第2章は90段落あった。一仕事だった。

gyazo.com

『基礎づけ』を買おうとしている

『基礎づけ』、御子柴善之 訳、人文書院のものを購入しようとしている。インターネットではなく書店から買おうとしているんだけど、いつ入荷になるかわからない*9

gyazo.com

しょうがないので最近出版された新刊の岩波文庫版(大橋容一郎 訳)も買おうとしている*10*11

*1:みすず書房はタイトルを端折って『哲学史講義』としているけども、これを『道徳哲学史講義』と呼ぶことにする https://copyanddestroy.hatenablog.com/entry/2025/01/27/095508#%E9%81%93%E5%BE%B3%E5%93%B2%E5%AD%A6%E5%8F%B2%E8%AC%9B%E7%BE%A9%E3%81%A8%E9%81%93%E5%BE%B3%E5%BD%A2%E8%80%8C%E4%B8%8A%E5%AD%A6%E3%81%AE%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E3%81%A5%E3%81%91

*2:ロールズにはもう1つ講義録集があってそちらが『政治哲学史講義』"lectures on the history of political philosophy" 、この『哲学史講義』の原題は "lectures on the history of moral philosophy" だから本来は『道徳哲学史講義』と呼ぶべき。 https://copyanddestroy.hatenablog.com/entry/2025/01/27/095508#f-49586497

*3:みすず書房の本、装丁が豪華だけで価格も高いのと、おそらく印刷部数が少ないのですぐに在庫がなくなってしまって中古価格がビックリするくらい高騰するのであまり信用していない

*4:ロールズの講義録は二つあって、『道徳哲学史講義』はみすず書房、『政治哲学史講義』は岩波書店から出版されている。みすず書房は『道徳哲学史講義』を新装版にして復刊した、一方、岩波書店は『政治哲学史講義』を文庫化した。岩波書店の姿勢に拍手を送りたい

*5:バーバラ・ハーマンはジョン・ロールズの弟子で、英語圏のカント研究者

*6:Barbara Herman - Wikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/Barbara_Herman

*7:例えば『道徳形而上学の基礎づけ』だと岩波文庫、光文社古典新訳文庫、中公クラシック(人倫の形而上学の基礎づけ)が入手しやすい

*8:御子柴善之 訳、人文書院の『道徳形而上学の基礎づけ』は、アカデミー版のページ番号が欄外に振られている

*9:最近は、できるだけ本は書店で買おうとしているけど、時々、入手性の問題が発生する。スピードが遅い

*10:「あれから100年後の今年、生誕300年記念事業として、半世紀をゆうにへだてて岩波文庫版カント主要著作の新訳刊行がスタートした。 https://x.com/taizooo/status/1884862561340022849

*11:中公クラシックスみたいに全集からの改訂版で文庫化?新書化?じゃなくって、新刊で文庫化ってすごい!岩波文庫、見直した! https://x.com/taizooo/status/1884876289091457418

powered by hatena blog.
the nikki system for lifelogging junkies.

all posts © their original owners.
writing is reusable solely under the by creative commons license.