copy and destroy

catch and eat

日記の練習です。

ミキサーは毎度ものすごい音がした。力強く回転を続けるものだから、回転部分からは摩擦で焦げたようなプラスチックのにおいがした。チーズケーキを作り、コーンスープを作り、バナナミルクを作ったミキサーはまだ現役だ。ミキサーは食材を大まかに切ってぶちこんでもものすごい音を立てながら必ず粉々にした。

「日記の本番」2月 くどうれいん|本がひらく

今回のくどうれいんサンの「日記の本番」は2月の「日記の練習」にはまったく書かれていなかったことが書かれていてとても良かった。日記にはこういうところがあると思っていて、

つまりどういうことかと言うと、日々の記録の中からはこぼれ落ちてしまう事柄ってものがあって、それらは一日という区切りの中では解像度というか密度が満たされなくて、日記という符号化が行われるときにノイズとして取り除かれてしまうんだと思う。

これを一ヶ月とか一年とかもっと奥行きを取った視点から眺めたときに、もうちょっとちゃんとした形で姿を現す事柄がある。その奥行きを生むのはおそらく、それが起きてから経過する時間であったり、自分とその事柄との距離感の変化であったりする。

「日記の練習」と「日記の本番」にはそういう機能があると思う*1

ちなみに2月の「日記の練習」で一番好きだったところは、こちらです。

隣の席におじいさんがひとり来て「ここのいちばん普通でいちばん美味しい定食」と注文するので、(なにが出て来るんだ……)とはらはら見守っていたが、レギュラーバーグディッシュ(150g)が出てきたので(いちばん普通のいちばんおいしいやつだ!)と興奮した。「そうか、味噌汁はついてこないのか、味噌汁もおいしいから飲みたい」とおじいさんは追加注文した。

「日記の練習」2月 くどうれいん|本がひらく

*1:「20**を探す」(/20¥d{2}を探す)にもそういう機能があると思う

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